通帳を作るのにもお金がかかる時代が来る!?銀行が狙う”口座維持手数料”

通帳を作るのにもお金がかかる時代が来る!?銀行が狙う"口座維持手数料"

 「3メガバンクが口座維持手数料の導入を検討している」

 2017年末、一部でこう報道され、各行が水面下で検討していることが半ば公然の秘密となりました。

 日銀のマイナス金利導入で、伝統的な商業銀行の収益性は一層低下しました。現在の利益は、本業の貸し出しによる資金利益が減少する中で、貸し倒れなど与信費用の減少や有価証券売却益で確保しています。

 地銀全体の経費を預金残高で割ると約1%前後になります。つまり、1%のコストをかけて集めた預金は貸し出しなどで、それ以上の金利が得られないとコスト倒れとなります。だが、現在の新規貸し出しや有価証券投資で1%の利益を確保できているかは心もとない。

 住宅ローンで1%の利ざやを得ることは難しく、企業貸し出しでも危うい状況です。そんな中でAI(人工知能)の導入はバックオフィス業務の省力化に貢献をします。

 2017年秋以降に明らかになった「3メガバンクのリストラ」は、バブル入行世代の自然滅の側面も強いですが、AIを段階的に導入していかなければ、その「自然滅」を容認できないわけです。

 ただAI導入を通じて経費削減を進めるにも限界はあります。

 例えば地銀では人員や店舗の削減に障壁があります。地方創生を掲げる中で、地域の中小企業を担当する営業人員は増強が推奨されています。地銀の収益環境は厳しいのに、経費削減策が聞こえてこない遠因もここにあります。

「ゆうちょ銀行」に資金が流れる

 すると求められるには、サービスの収益化です。今まで無料で提供してきたサービスを収益化して、非金利収益にするしかありません。融資先から受ける日々の相談も、言い換えればコンサルティングであり、ビジネスマッチングやM&A(企業の合併・買収)までいけば手数料は得られます。

 ここで口座維持手数料の話に戻ります。無料で当たり前と思われていたサービスでも、収益化が今後の銀行が求められています。

 具体的には法人口座からの手数料徴収に着手し、次いで通帳の交付を印紙税の支払いに見合う形で有料化する流れです。個人の低額口座からの手数料徴収は、逆進性が強いため相当な抵抗はあると思いますが、検討対象です。

 これを進めれば個人口座の集約も進み、経費削減にもなります。

 実現すれば、どれくらいの収益になるでしょうか。例えばりそなグループは約1,300万の個人口座を持ちます。これに年会費1,000円を課金すれば、約130億円の収入となります。ただ口座の集約も考えられ、全口座への課金は容易ではありません。

 また、年会費1,000円を毎年課金するのもハードルが高い。なお130億円はりそなグループの連結経常利益の5%程度に相当します。焼け石に水とは言いませんが、起死回生の一手でもありません。

 さて、実際に各行が口座維持手数料を導入すると何が起こるでしょうか?

 口座の集約も進み、3メガバンクが実施した場合、地域金融機関を含む多くが追随すると見られます。ただし、ユニバーサルサービス(分け隔てのない便益の提供義務)の順守が絡むゆうりょ銀行は導入が難しいかもしれません。

 仮にゆうちょ銀行が導入を見送れば、望まない資金が流入し、有価証券運用はさらに困難を極めることになります。

 そして銀行がここまで追い込まれた理由として、日銀のマイナス金利が指摘されたら、国民の批判は日銀にも向かうかもしれません。現在のマイナス金利は一部の金融機関が対象で、一般の国民がその影響を直接感じる機会はまずありません。

 だが、国民が口座維持手数料を通じて、金融政策による直接の痛みを感じたとき、物価目標2%を掲げた日銀に、初めて国民の批判が直接向かうかもしれません。国民世論がマイナス金利反対の大合唱になれば、銀行界にとってこれほどの援軍はないでしょう。

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